2021.09.28
次世代の通気防水素材 「 Täsmä 」誕生
Teton Bros. がテクニカルシェルに求めるスペックには、大きく分類して、「防水性」、「撥水性」、「通気性」、「耐摩擦性」、「引き裂き強度」、「総合的な耐久性」があります。これらの要素を高次元で有する素材を常に幾つかの素材メーカーと開発をしてきました。
今期より、Teton Bros. のテクニカルシェルのラインナップとなった新素材「Täsmä」(タズマ)は、3年以上に及ぶ東レとの共同開発によって実現に至りました。既存の素材の性能を凌駕するスペックを備え、異なる目的を持つ製品にマッチする表面のファブリックを使用しています。
Teton Bros. が十分な防水性とともに重要視するファクターに「通気性」があります。ウェアを着用した瞬間から始まる通気は、ウェア内をドライに保ち、汗冷えや低体温症のリスクを軽減します。
これは、使用するメンブレンにESP(エレクトロスピニング製法)を使用し、物理的に微細な無数の穴(水分子より微小)がウェア内の湿度を排出します。反面、外気を99.9%遮断することで高い防風性を備えています。0.1%の流入においては、人間の感覚では体感することのない数値です。
相反する防水性についても、既存の素材を凌駕するために、メンブレンの製造過程においてまた素材のフィールドテストにおいても膨大な試みを行い、相反する性能において既存の素材を遥かに凌駕する性能を獲得するに至りました。
優れたメンブレンの開発に加えて、各製品(TB JKT&PNT, Tsurugiなど)の開発コンセプトに合わせた表面の素材に関しても最適な素材を開発、採用しています。具体的には、使用する糸や特殊な織り方による素材の強度、軽量化、ストレッチ性を実現しています。
優れた防水性と通気性を有するメンブレンの性能を発揮するために重要なファクターには、素材表面に施される撥水性が極めて重要になります。いかに優れたメンブレンでも表面素材に水の膜が形成されると、その性能を発揮することができなくなってしまいます。
また実際にフィールドで使用する際には、降雨や露などの水以外にも皮脂や樹脂などによる撥水の低下や消失も視野に入れなければなりません。撥水性の低下に伴い防水性と通気性は著しく低下するため、ウェア内の環境は急激に悪化し、天候の急変に伴い時には低体温症などの命のリスクにさらされてしまうこともあります。
「Täsmä」には、現状使用可能な撥水加工では最高の耐久撥水性とともに、撥油性を有する加工を施しています。現状、様々な撥水加工が存在する中で、Teton Bros. は、フィールドで使用する際に考えられるシチュエーションにおいて、厳しい気象条件から着用者の安全と命を守ることをファーストプライオリティとしてシェル素材の開発と採用をおこなっています。
新しい素材の採用までには、各工程において多くのトライアンドエラーを繰り返し、ラボレベルでの数値が既存の素材を上回ることは最低条件とし、国内外の山岳ガイド、プロフェッショナルスキーヤー、スノーボーダーを始め、自然の中での活動に従事する多くのテスターとともにフィールドテストを繰り返した上で、今回の素材変更に至りました。
加えて東レとの開発過程では、国内という利点から多くの情報を共有し合うことで、表地、メンブレン、裏地において納得のいく素材を開発、使用することが可能となりました。
優れた開発力とリソースを有する東レと、フィールドでの開発とフィードバックをベースに歩んできたTeton Bros. が情熱と知識を注ぎ込んで生み出した新素材「Täsmä」を皆さんのフィールドて着用していただければ幸せです。