「CLIMATIC JACKET」開発ストーリー

開発ストーリー

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Teton Bros.では素材の通気性にこだわり、シェル全製品のメイン素材に次世代の防水通気素材「Täsmä」を採用しています。
フラッグシップであり、バックカントリーを想定したTB Jacketの機能をベースにアイスクライミングやアルパインクライミング等のアクティビティ向けに機能を追求し、各製品(シェルジャケット:3品番)をつくりあげています。

そのなかで、アルパインクライミング向けに開発した「Climatic Jacket」の開発のきっかけ、他のシェルと異なる点などについてこのコラムで紹介します。


創業当時のTeton Bros.はまだスタートしたばかりのヨチヨチ歩きのブランドだったため、複数のモデルをラインナップする余裕も体力もありませんでした。そのため、最初のモデルを開発するに際しては、バックカントリーでの使用を主軸に置きつつも、どこへでも、どんなアクティビティにも対応できるポリバレントな秋冬用シェル上下からスタートしています。それが2008年にリリースしたTB JacketとTB Pantです。

その5年後にはTsurugi Jacketを出し、Climatic Jacketはその3年後の2017年リリース。

Tsurugiはどちらかといえば、まったく新しい発想から生まれた一着ですが、ClimaticはTB Jacketを発展させた延長線上にあります。

1着で多様な使い方ができるようにデザインしたTB Jacketの用途をぐっと絞り込み、アイスやアルパインクライミングに特化したシェルを目指しました。

具体的にはTBの基本デザインを踏襲しながら、素材は軽さとストレッチ性を重視。メイン素材を軽くしたぶん、耐久性が求められる肩や腰回りには強度の高い素材をマッピングし、全体的にシルエットをシェイプして細身のフィットに仕上げました。

左)TB Jacket 右)Climatic Jacket 肩や腰回りには強度の高い素材をマッピング。全体的に細身のフィット

ヘルメット対応フードや、アングルベンチレーションなどのディテールも踏襲しつつ、クライミング中に使うことが多くなる2つのチェストポケットには新たな工夫を加えました。クロス方向からでも手を差し入れやすく、かつ、モノを落としにくいよう角度を付けて配置したのです。ハーネス着用時にはパンツやビブのポケットは使えなくなりますからね。

一番の特徴は肩の可動域です。
全体的にTB Jacketより細身に仕上がっていますが、実は肩周りの生地量はClimaticのほうが多いんです。アックスを振るう動きを想定して、腕を真上に上げた状態で肩周りにストレスがないようデザインしているからです。

冬季クライミングを想定したニッチなClimaticですが、もちろん、バックカントリースキーやほかのウインターアクティビティに使っても快適です。

認知度が上がったせいか、ありがたいことに年々注文数が増えています。とくに身幅が細く、体のラインに沿って余分な生地のダブ付きがないこともあり、登る滑るにかかわらず、細身の方に愛用されている例が多いようですね。

バックカントリースキーでClimatic Jacket をテストするガイドの立本明広

ちなみに「Climatic」というのは「クライミング」と「オートマティック」を掛け合わせた造語です。ストレスなくスイスイ登りたいね、という思いからでした。

 

Text by Nori Suzuki
Teton Bros. Founder / Skier

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