海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

製品レビュー

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海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

山、川、海、雪、なんでもこよなく愛する一児の母、アウトドアやウィンターアクティビティ専門誌で活躍するアウトドアライター、福瀧智子氏からこの夏おすすめのアイテムをレポートしてもらいました


波乗りをしないくせにサーフショーツがとにかく好きで何枚をもっているのですが(理由は後述)、本格的な夏を前にして早くも今年愛用しているのが2020年の新作「WS Climbing Surf Short」。

一見、普通のサーフショーツに見えますが、このモデルの一番の持ち味はネーミングの通り「クライミングでも波乗りでも使える」ことをコンセプトにしたショーツ、であること。

サーフィンでも街でも使える「水陸両用」とうたったファッション性の高い物は巷にいくつも存在していますが、“海もクライミングも”というものはちょっとめずらしい。

ひょっとすると……とTBスタッフに聞いてみると、会社ぐるみで親しくしているクライマーやサーファー、リバーガイドの仲間にどんなパンツが欲しいかとリサーチしたところ、それぞれのアクティビティに共通して「丈夫で」「動きやすく」「アクティビティのあとにもずっと履いていられる」という希望が挙がったんだとか。実際、私の山仲間にも「動きやすいしすぐ乾くし、夏の登山はサーフショーツに限る」という人がいたりして、水モノ・山モノ両用ショーツのニーズは水面下では一定数あったに違いありません。

こういう製品に手を出すあたり、分かっているというか、さすがというか、とにかくTBは小さい声をうまく拾うニッチなブランドですよね。

では、どの部分がクライミングなのでしょうか。

まず素材。

サーフショーツを扱う他社アウトドアブランドの製品は、海から上がったあとの速乾性や海上で動きやすい伸縮性を重視しているものが多いなか、本モデルが一風変わっているのは耐摩耗性に優れたナイロン素材「Coudura(コーデュラ)」を用いている点。コーデュラは通常のナイロンの約7倍の強度を持っていて、擦れることの多いバックパックやシューズ、耐久性が求められるワークウェアやミリタリー用品などに多く使われる素材。本ショーツもクライミングと名が付くだけに、岩にこすり付けても影響しない耐久性をもっています。

海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

ミリタリーという響きから硬そうな印象を受けるかもしれないが、生地は薄くしなやかでサラっとしている。

しかもストレッチ性を備えたコーデュラを使っているため、波乗り用に合わせてややタイトなデザインですが動きにくさがありません。合わせて、裾の両サイドにスリットを入れることで、足を上げたときのツッパリがなく、ROM(関節可動域)が最大限確保されています。

海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

近所の低山を走るなどでも着用していますが、このわずかなあしらいがあるのとないのとでは全然違う。

さて、ここで私は波乗りをしないくせいサーフショーツを何枚も持っているという冒頭の話になるのですが、もっぱら夏はサーフショーツばかり履いている理由が大きくふたつあります。

ひとつは神奈川県の海沿いに住んでいるので、SUP(スタンドアップパドルボード)で沖の岩礁帯まで漕いで行き、周囲を潜るのが夏の最大の楽しみということ。

サッと漕いで、岩礁帯にSUPを置いてマスクとフィンを装着し、狭い磯場の隙間を縫って泳いだり潜ったり……。ここではダイビング用のグローブは岩に擦れてあっという間に破れてしまって、買い替えが気軽で丈夫な園芸用のグローブの方がはるかに役立つシチュエーションなので、摩耗に強い「WS Climbing Surf Short」はSUP×岩礁帯での着用にとても適していると言えます。

海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

まだ潜ってる写真がないので昨年のもので。この某社サーフショーツは磯場で擦って2箇所穴が空いている。

海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

左) 3箇所あるポケットはサーフショーツらしくすべてドレイン(水抜き)付き。右) ウェストにはしっかりショーツをキープするノンストレッチ素材が使われている。

もうひとつの理由は現在幼児の子育てまっただ中、という点。

子育て中のお母さんあるあるですが、小さい子供相手だと四六時中水仕事です。食べこぼしで服を汚せば水で洗い、お漏らしすれば即座にシャワー。外で遊ばせれば靴や服のみならず本人まであっという間に泥まみれになり、それを追いかける母も気づけば汗まみれ(涙)。

結局、つねに水と接する生活をする結果、濡れる前提で作られた気軽で涼しいサーフパンツ以外自宅で夏は履かなくなってしまう。庭で子供をプールに入れても、木々に水やりをしても、服の乾きが早くそのまま家事に復帰できるとなれば、もはや選ばない理由はないでしょう。

しかもこの「WS Climbing Surf Short」は、激しい波でも脱げないように腰まわりだけストレッチしない素材を使ってフィット感を高めているので、かがみこんで家事をしたり子供と遊んだりしても、下着が見えない。

なりふり構ってられない子育てだけど、ここは死守したい部分。重要!

海でも山でも子供遊びでも履きたいという女性に WS CLIMBING SURF SHORT

左上)右側のサイドポケットはキーループ付き。 左下)背面はポケットなしでスッキリ。右)一見普通のサーフショーツなんですが、素材と動きやすさがイチオシ。

ちなみに私は身長157cm・体重51kgで、TBのサイジングでいえばMサイズ。

……なんですが、この製品に限ってはMはややフィット感高め。それを指摘するとスタッフの方曰く「波乗り用に腰回りをフィットさせているので、私も普段づかいはL、波乗り用はMにしています」との返答。「いやいや普通は2着も買えねーし」と内心ツッコミつつ、一択でゆとりあるLサイズを選びました。もっぱら日々快適です。

「WS Climbing Surf Short」は海でも山でも子供遊びでも履きたいというアクティビティが楽しくクロスする女性に、ぜひオススメします。

全4色展開。持ってない赤を選んだけど、いや~初心に返って紺もええなぁ……。

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この記事を書いた人

ふくたきともこ

ふくたきともこ

フリーランスの編集者/ライター。アウトドアやスノーボード関連の専門誌で活動する傍ら、フジロックや朝霧ジャムなど国内の野外フェスの制作にも携わる。最近の好きな山は飯豊連峰と伯耆大山。京都出身、一児の母。

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